ミスター・ノーバディ (2011)




「ミスター・ノーバディ」(2011)
原題『Mr. Nobody


監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
脚本:ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演:ジャレッド・レト、ダイアン・クルーガー、サラ・ポーリー、リン・ダン・ファン 他



人生では誰もが様々な選択を迫られる。

そしてその多くは突き詰めれば2択であることが多い。
どちらを選ぶか…?
どちらを選んだらより良いのだろうか…?

そうして選択をした道のりでも、また数々の選択を迫られる。

そうやっていくつにも枝分かれした人生を、人は無意識のうちに選択を迫られたときに想像している。

この映画が描いているのは、まさにその"選択と可能性"である。


人類が老いることの無くなった世界で、唯一寿命のある人間ニモ・ノーバディ。
118歳の彼が語る、これまでの人生とは。
彼が人生で下した数々の選択とは。


そして訪れる物語の結末。
その意味を理解できたならば、その結末を知ったとき、途方もない感動を鑑賞者は得られることだろう。

私が言う感動とは、単に泣けるという感動ではない。
本当の意味で、心を動かされるという感動である。


こんなものを3時間にも満たない映画で描ききってしまった監督やスタッフ達の才能には頭が上がらない。

この映画を、もし映画製作者が観たらどう思うのだろうか?
私が映画を創る身であったなら、とてもじゃないが影響されずにはいられない。
いや、それどころじゃなくこの圧倒的な映画に触れてしまったら、映画を創る事をやめてしまうかもしれない。

この映画が描いている人生の"選択と可能性"
そんな途方もないテーマを、完璧な完成度で描ききってしまっているのだ。
本作に影響され同じテーマの作品を創ってみようとしても、この映画が圧倒的すぎてどうやっても超える事などできはしない。
これ以上の映画を私には創れない。きっとそんな事を考えてしまっていたことだろう。


これまで千を超える映画を見てきたが、ただの映画鑑賞者である私でさえこの映画に与えられた影響は甚大だ。

事実「この映画を超える作品に、私が生きているあいだで出会う事ができるだろうか。」と、考えずにはいられなかった。

これは紛れもなく天才の映画である。
映画についてある程度の知見を有し、その描写の意味に思考を巡らせる事のできる人ならば、この映画の鑑賞者として合格である。ミスター・ノーバディという作品を存分に楽しむ事ができるだろう。
逆にそれらが伴っていない人は、残念ながらこの映画の鑑賞者としては不合格であると言えよう。

故に私にとって人にオススメしにくい映画なのだが、前者の人にはぜひともオススメしたい映画No.1である。

そして後者の人にも、ぜひ沢山の映画と触れてからいつか鑑賞してもらいたい映画No.1だ。